そういえばなんで絵描いてんだろ、のハナシ③
そういえばなんで絵描いてんだろ。のハナシ
GOOFFYS
グラフィックを描き始めて1年ほどたった大学3年の終わり頃、自らのデザインした洋服を扱う<GOOFFYS>というブランドを開始した。
発売からたくさんの人が買ってくれたし、撮影に協力してくれた。
利益は出てなかったけどとにかく描いて服を作りまくった。
専門知識はゼロだったけど勢いとなんとかなるだろう精神で絵を描き続けた。
GOOFFYSを始めて約3年、当時は自分の成長を実感できなかったけど、昔作った服をインスタのアーカイブで見てみると一丁前にこんなことを思う。
「絵上手くなったなあ」と。(笑)
独学でもなんとかなるもんなんだなと、3年目でようやく思い始めることができている今日この頃。グラフィックデザイナーとしての自分はGOOFFYSと共に成長してきたと言っても過言ではないだろう。ブランドの発足当時から応援してくれる人には(もちろん今からの人も)本当に感謝しています。どうもありがとう。
https://instagram.com/gooffys__?igshid=YmMyMTA2M2Y=
↑GOOFFYS
mumaとの出会い
デジタルのグラフィックを描き続けて半年ほど経った頃、アナログペイントで看板制作をさせてくれるという話が舞い込んだ。当時僕はピザを教えてくれた師匠(以下、ピザ師匠)がオープンしたピッツェリアを手伝っていて、そのお店での話だった。
自分が絵を描いて生計を立てていきたいという話はよくピザ師匠にもしていて、そういうことならやってみろということで看板制作がスタートした。
アナログでペイントするのは初めてだった、インスタで見るプロのペインターさんには程遠い出来栄えだったけどとにかく楽しかった。デジタルでグラフィックを作るときには味わえない、塗料の匂いや、指2本で1アクション巻き戻すことができない緊張感やライブ感。今思うとその時からアナログペイントの虜になっていた。(デジタルでグラフィックを描くのも変わらず大好きです。)約2年後にmumaという名前でアナログペイントをし始めるきっかけはこの日だったのかもしれない。
↑当時作らせて頂いた看板
こうして、僕は結果的に二刀流的なスタイルで絵を描くようになった。自分でもデジタルのグラフィックとアナログのペイントで同じ人間が描いてると思えないくらい。賛否あるかもしれないし、自分自身どちらかに決めれないことに葛藤はあったけど、両方楽しく描けてしまうので困ったものである。(最近はそういう自由なところも絵描きという人間のメリットだと思うようにしている笑)
「嘘」のハナシ
友達と飲んでいると「現状の稼ぎや、将来の保証もないのに絵を描き続けられるのはなぜなの?」と聞かれることがある。
これについては自分で続けていけている理由が明確にわかっている。
もちろん絵を描くのが楽しくて、喜んでもらえるのが嬉しいという感覚は当たり前にあり、これが理由の大半を占める。
ただ、もう一つ続けて来れている理由に「嘘をついていたから」ということがある。
この表現だと語弊があるかもしれないけど、、
僕は絵を描き始めた大学3年生の時から会う人会う人に「僕は絵を描いています」「僕はデザイナーです」と言ってきた。
絵でお金を稼いでるわけではないのに、である。
卒業して東京に来てからも変わらず。初めて会う人には必ず“絵描き、デザイナーの‘齋藤です。という自己紹介をした。半無意識的に。アルバイトで生活に必要なお金を全て賄っているのに、である。
絵描きとはどの瞬間から正式な絵描きであるのか、ということはわからないし、そんな定義はおそらくないが、僕はこの自己紹介をする時、毎回少しだけ自分が嘘をついているような気分になった。
絵だけで生活ができていないことや、その他諸々の数字がともなっていないことに常に後ろめたさがあったからである。
もちろん今となってはそんな気持ちはないけど、絵を描き始めた当初はいただいた仕事に対して、「本当に自分に頼んでいいんだろうか」という気持ちが心の底の方にあった。(本当に失礼)
当時は実力と自分が吐く言葉にギャップを感じていたのである。これが今僕が綴っている「嘘」のハナシ。
ただ、この言葉と、僕の絵を信頼して、好きになってくれる人たちがいて、ここまでGOOFFYSもアクリルペイントも続けて来れているのは事実であり。ここで結果が出ないから辞めることは今まで自分が吐いてきた言葉を本物の嘘に変えてしまう気がする。
これが、自分が今日も変わらず絵を描き続けるもう一つの理由である。
描くのが楽しいという感覚は常に大きくなっていて、もっと自分らしい表現をしたい、実際に見て喜んでもらいたいという気持ちはもちろん最大の原動力だけど、
自分が吐いてきた言葉に常に引っ張られて前に進んできたというのも大きな原動力の一つなのである。
アーティストによくある“幼少期から好きで気づいたら職業になっていた‘だったり“雷に打たれた‘ような始まりではないのがコンプレックスだったけど。
そしてまだまだ絵を描くことだけで生活できるところまでは行けてないけど、僕の言葉を信じて、僕の絵を気に入ってくれているどこかの誰かの期待に応えられるように、そしていつか自分自身が、自分が吐き出す言葉に追いついて追い越せるようになるまで頑張ろうと思う。
もちろん描くときはプロとして、しっかりお仕事しますが。。ということで皆様お仕事依頼お待ちしてます笑
おわり
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